うつ病の記事を読むと、たいてい「休養とくすり」と書いてありますが、それだけではどうしてよいのかわからないでしょう。
うつ症状が強く、何をするのもおっくうで、動くとすぐに疲れるようなときは、その状態が回復するまでは、心身ともに休むことも必要です。しかし、横になっている期間が長ければ長いほど、体力も落ちて復帰が大変になります。少しずつ散歩や軽い運動などを始めましょう。からだを動かすことや日光を浴びることは、うつ病でバランスが崩れたセロトニンなど脳内神経伝達物質の活性化に役立ちます。その後は回復具合に応じて、主治医と相談しながら、いろいろな活動を取り戻していきます。
うつ病では、回復してから2年以内に再発する割合が30%以上とも言われています。したがって、どのように再発を防ぐかが大切です。
回復して復職を考える段階になったときには、重要なことがふたつあります。
ひとつは、復職するするタイミングです。できれば、ほぼ症状がなくなった状態(医学的には寛解と呼びます)になってから復職することが望ましいでしょう。集中力の低下や疲れやすさが残っている段階で復職すると、仕事の負荷で再発しやすくなります。
もうひとつは、発症の引き金となった要因を探り、改善できるものを見出していくことです。さらに、再発を防ぐための自分なりの対処法を新たに身につけることも大切です。主治医との面談のなかでこうした作業をおこないますが、状況によって、心理師によるカウンセリングを併用したり、リワーク(復職支援)プログラムを利用したりするのもよいでしょう。
復職の際、会社によっては、試し出社、短縮勤務などを実施しているところもあります。いずれにせよ、どのような業務内容で、いかに負荷をかけていくかが、うまく復帰できるかどうかの鍵となります。復帰に際しては、会社の産業医や保健師、人事担当者などと、主治医とで連携をとってもらうことも大切です。
また、復職したあとの治療も重要です。くすりもしばらく継続することが必要ですし、ちょっとした気分の変化や症状に気づいた際には、早めに主治医に相談し、手を打つことで再発を防げることもあります。