うつ病治療の中心となるくすりは、抗うつ薬とよばれ、セロトニン、ノルアドレナリンといった脳内神経伝達物質のバランスを取り戻す働きがあります。服用を始めて1~2週間で効果が現れ始めますが、十分な回復には3~6ヶ月かかることが多いようです。
こころのくすりというと、「くせになる」「やめられなくなる」というイメージを持たれるかたもいますが、抗うつ薬にはそのような習慣性、依存性はありません。また、最近の抗うつ薬は副作用も少なくなってきています。
うつ病では、いったん症状がよくなってからの治療も重要です。うつ病になったかたの約半数が再発するとも言われており、軽快してからは、再発をいかに防ぐかが治療の中心となってきます。抗うつ薬は、症状の回復後も6ヶ月は服用を続けたほうが再発も少ないと言われています。
特定のストレス状況下ではうつ症状が現れるものの、ストレスと関係ない場面では気分が保たれている場合は、適応障害のうつ状態と診断され、多くのかたは抗うつ薬を服用せずに、カウンセリングや環境調整によって軽快します。
また、躁あるいは軽躁の時期がある双極性障害では、同じようにうつ症状が現れますが、くすりの用いかたが異なります。